ブラボーわが人生 第28回 米一粒に師弟あり(2) - 聖教新聞 体験談そのほか気になる記事

ブラボーわが人生 第28回 米一粒に師弟あり(2)


 信仰体験 ブラボーわが人生

第28回 米一粒に師弟あり(2)

 「題目あげでみろ。たまげるほどの幸せ感じっど」



 学会活動で福運も積まねばなんねべえ。みんなのうちさ行って、「題目
あげてみろ」と教えっけんども、石ぶん投げられるしよお。

 米沢とか山形とかの会合さ行ったもんだ。いい服着てんと陰で言われっ
から、洋服の上にジャンパー引っかけて、汽車さ乗んだ。

 帰りは汽車もバスも走んねえ夜中だからよお。真冬の猛吹雪に、50メー
トルおきの電柱を頼りに、歩いたっち。戦いだ。命懸けの戦いだ。
そうやって米一粒を作ってきたんだ。

 何事も御本尊様が先だんべ。新米お供えしてよお。「この一年、無事に
取らせていただいて、おしょうしなあ(ありがとうございます)」。
おれの田んぼは、題目の法味が詰まってっからよ。いい米がたくさん
取れたんだ。

 5年過ぎてからだな。「今までのこと、水に流してけろ」と村の人が
うちさ来たのはよ。

伊藤さん 2.PNG
50年前の伊藤さん(手前右)一家。
実りの秋に感謝


 山形の米は、ツヤっつうか、違うすね。どこの田んぼも青々と伸びた
年があったんだ。豊作でせわしなく働いた。もうすぐ刈り取りって時、
昭和42年の羽越豪雨に遭ったんだ。

 堤防を越えて、農道が川になってよお。田んぼが土砂で埋まったっす
めえ。「家が流されたってよかった。稲さえ無事でいてくれたらよお
……」。田んぼさ見て泣く老人がいたったもんなあ。

 おれの田んぼは脇に用水路があったから、無事だったんだ。刈り取りも
できたけんど、みんな早く御本尊様を持たせにゃ、かわいそうでよお。
信心さ聞かせて、「村が豊作になるようにお願いします」と題目あげた
んだ。

 昭和47年だな。池田先生が山形県隊体育館に来てくださってよお。
一緒に写真さ撮ってけだったなあ。その頃も庄内・最上地方で、河川の
被害が田畑に出たんだ。池田先生は御書を引かれたんだな。

「災来るとも変じて幸いと為らん」(979ページ)。すごい確信だこって。
おれは、生きてるうちにどこまでも題目あげるべ、と誓ったんだ。

 先生の話さ聞いてっと、土地改良した村のみんなが浮かんでよお。
ちゃっこい田んぼを大きくして、用水路も広げたんだ。変毒為薬だんべ。
おれは池田先生と米さ作ったど。うまい米になってけろや、って題目し
ながら田植えたんだ。

 米一粒に、農家の人生が詰まってんのよ。おれには見えんだ。だから、
ぶさたにしては(無駄にしては)なんねえの。米は命をつなぐものだべ。
「白米は白米にあらず・すなわち命なり」(御書1597ページ)。
米さ粗末にする人に、いい人いねえべっちゃ。

 父ちゃん亡くなって、昭和の終わりごろに田んぼをやめたんだ。
農家を引退しても、使命に定年はねえべ。ずっと題目。おれは題目切ら
さねえよ。題目ばあさんだ。
題目ながったら、別の人生になってたなあと思ってよお。

 今は近くの農家から米さ買ってる。その人は、おれの田んぼで作っ
てんの。あいや、おいしくてよお。まだ田んぼに題目の法味が詰まって
んだな。まんず、いがったな。

伊藤さん 3.PNG
家訓は「米一粒なげたり(粗末に)するな」。
ひ孫までしっかりと行き届く


 池田先生と記念撮影した折、「生きて生きて生き抜いてください」
と激励され、「百歳会」の結成があった。ちゑさんは責任の重さを感じる。
「自分だけ生きるのではなく、村の人みんなが100歳まで生きるように
祈らねば」。そこに「百歳会」の使命があると言う。

「題目の王者」と評される。東北の春の到来を物語るような不屈の歩み。
「あの時、勝ったから、こうしてられる」と、四面楚歌だった日々
を思う。

「題目あげてみろ。たまげるほどの幸せ感じっど」。友に語る言葉は、
今も昔も変わらない。

 ちゑさんの手を握った。日本の食卓を支え、気高い人生を築いてみせた
手は、
節くれ立った厚みのある手だった。山の残雪が解ける5月、飯豊の里に
田植えが始まる。(天)

おわり 『聖教新聞 2017/05/02(火)』

 まとめ
ブラボーわが人生 第28回 米一粒に師弟あり(1)
ブラボーわが人生 第28回 米一粒に師弟あり(2)


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