心が変われば日常が輝き出す。グローバルウオッチ・世界を見つめて - 聖教新聞 体験談そのほか気になる記事

心が変われば日常が輝き出す。グローバルウオッチ・世界を見つめて

花木静香さん.PNG

 心が変われば日常が輝き出す。

 グローバルウオッチ・世界を見つめて
 若者と幸福


 現代社会の課題を見つめる「グローバルウオッチ・世界を見つめて
若者と幸福」。明治期、屯田兵として北海道を開拓した一族の4代目
に当たる女性がいる。祖父の父が酪農を始め、祖父は新たな牧場を求め
、さらに山奥へ。父もその後を継いだ。以前は”土地に縛られ、
一族に縛られている”と思っていたが、信仰の実践により彼女は
変わった。そこに、幸福を築くヒントがある。(記事=橋本良太)


 牧場の娘に生まれて 北海道・湧別町 花木 静香さん


 隣家までは2キロ、小学校までは5キロ。幼い頃は、友達よりも牛と
遊ぶことの方が多かった。快活な少女が笑わなくなったのは、中学時代
、いじめに遭ってからのことだ。

 靴を隠され、クラス全員から無視され、「ウザい」「キモい」と言葉の
暴力。苦しいが、家族には言えなかった。

 両親も、苦境に立たされていた。当時、業界の低迷から、酪農でも
大規模経営化が進む。花木一族も、酪農に携わる子孫が共同経営し、
牛舎を集中させることに。

一族の中でも年が若い父と母は、経営方針や人間関係で肩身の狭い
思いをしていた。

 いじめに耐え、中学を卒業した同じ頃、牧場での心労が重なった
母は心の病になった。泣き叫び、暴れることも。

 いじめられた故郷も、混乱する家も、大嫌いだった。高校3年の冬、
札幌の専門学校への進学を希望する。だが、家計がそれを許さなかった。
「すまない」

 父の謝罪の言葉に、「どうして……」としか言えず、あとは泣くのが
精いっぱい。2010年(平成22年)。卒業と同時に、一族の牧場で
働くこととなった。

 午前4時から、165頭の搾乳、清掃、餌やり……。冬場は氷点下20度
を下回る。牛に蹴られて体はあざだらけ。

指先もひび割れ、血だらけに。それ以上に衝撃だったのは、共に働く
親戚からの一言だ。
「花木の家の女に、進学した人なんて誰もいないよ」

 一族の生き方が、人生を縛る鎖のようで重たかった。

 働き始めて3年目、創価学会の女子部の先輩が訪ねてきた。何度も
通ってくれる先輩に、ある日、本音を打ち明けた。
「もう牧場で働きたくない」「家から離れたい」

 先輩は、じっと話を聞き、ゆっくりと語り始めた。
「私も昔、思っていた。”自分が輝く場所は他にあるんじゃないか”
って。分かるよ。苦しいよね。逃げたいよね」

 先輩は続けた。「生命力を付ければ、どこに居ても幸せになれる。
周りの人まで、幸せにしていけるんだよ」と。

その日から、朝晩の勤行・唱題を始めた。正直、”お題目で何が
変わるの?”と思った。だが、変わった。日に日に、牛に怒りを
感じなくなり、乳房の拭き方から牛への声の掛け方までが一変する。

 ”牛は、行動で気持ちを伝えるしかない。そのサインを見逃すな”
という、父の口癖の意味がわかった。いつしか父を尊敬するように
なった。

   ◇ ◇ ◇

花木静香 2.PNG
町内の牧場で。仕事の一環で酪農家を回ることも。

花木静香さん 3.PNG
今でも牛が大好きな花木さん。「抱きつきたくなるけど、
我慢してます(笑い)」

女子部の華陽姉妹と共に。「先輩が、かつて孤独だった
私を励ましてくれたように、今度は私が皆さんの
お役に立てるように頑張りたい」と花木さん
(左から3人目)

【湧別町の特徴】
オホーツク海に面し、道内最大の湖・サロマ湖を抱える。
湧別川流域の平地では畑作が、山あいや河口域は
乳牛飼育による酪農が盛ん。酪農は一時の大規模経営から、
最新の機械を導入した中・小規模単位の経営に移行して
いるが、最盛期に比べて酪農人口は減少している。

「花木さんの家族.PNG
家族だんらんのひととき。父は結婚を機に入会後、男子部
・壮年部で公布にまい進。叔母も二人三脚で歩む父母の
姿を見て、12年前に入会した。そして今、弟と妹も
学会活動に励む(左から叔母・ミエ子さん、母・奈緒美、
花木さん、妹の育美さん、父・寿美さん)


 牛が大好きになった頃、一族の会議で経営縮小が決まる。
父と共に牧場を辞めた。

 もう人生を縛るものはない。だが、故郷に残った。16年春、父と共に
JAに再就職する。牛に関わり続けたいと考え、何より”母との絆を
取り戻したい”と願うようになっていた。

 母の病状は思わしくなかった。意思疎通ができず、感情を物に
ぶっけたり、一時的に行方不明になったことも。同年6月、入院が決定し
、父と妹が付き添って行った。妹から電話があったのは、入院した日の
夜のことだ。

 「お姉ちゃん、お母さんのかぱんからね……」〈花木静香〉〈花木翼〉
〈花木育美〉……妹が見つけたのは、母が作っていた、
子どもたち名義の預金通帳だった。

「お母さん、病気で苦しんでいる中で、私たちのこと、ずっと思って
くれていたんだね」。妹の声は涙で震えていた。

 信心を一人たもって、花木の家に嫁いできた母だった。一族の
しがらみに苦労したことは、大人になった今なら、いくらかは分かる。
”ありがとう、お母さん”

 本年、母は病状が回復し、自宅へ。十数年ぶりに、家族だんらんが
戻ってきた。

 「何げない日常が、とても楽しい」と思う。職場の事務仕事、同僚との
お茶会、外回りで触れ合う牛の吐息、そして母の笑顔……。

 ”女子部は一人ももれなく幸福に”と励ましを送り続けてきた池田先生
は、こう綴っている。「幸福とは、外にあるのではない。私たちの心の
なかにある。それを教えているのが仏法です」

 だから今、目に映る全てが輝いている。


はなき・しずか 高校卒業後、家族が親戚と共同経営していた
牧場に就職。6年間働き、その後、地域のJAに再就職。
「昨日できなかったことが、今日できるようになったら、どんな
身近なことでも、それが人間革命なんだよ」……かつての先輩の
励ましが、今も胸に響く。現在は畜産課で事務や経営の仕事を担う
とともに、酪農家のサポートを。上湧別支部、女子部本部長。

北海道の冬.PNG
サンピラー(太陽柱)。日の出や日の入りの際、太陽光
が大気中の氷の結晶に反射し、垂直方向に伸びて見える
珍しい自然現象



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